電気用品安全法が世間の注目を集めたのは、施行から5年も経った2006年の春。各メディアが、古き良き時代のビンテージ品をゴミとして葬る悪法だ、中古業者を役人のエゴによって苦しめてはならないなどと報道し、電安法に対する世間の批判をあおりました。
しかし、電気用品安全法は、本当に世間にいわれるほどの悪法なのでしょうか。
まずは、電安法の本来の目的をおさらいしてみましょう。
電気用品安全法は「電気用品の製造、販売等を規制するとともに、電気用品の安全性の確保につき民間事業者の自主的な活動を促進することにより、電気用品による危険及び障害の発生を防止することを目的(第1条)」とし、2001年4月に施行されました。
記憶に新しいところで、ペーパーシュレッダーで幼児が指を切断した事故例がありますが、国産、外国産を問わず、こうした電気製品の事故を未然に防ぐことを目的としているのが、まさに「電安法(電気用品安全法)」です。最近ではいたる所で製品の事故情報が開示され、これにともなうリコールが行われていますが、こうした危険の発生を防ぐために、電気用品安全法では数々の規制や技術基準を設けています。
確かに、中古品やビンテージ品の取り扱いには、施行当初から対策を練るべきだったかもしれません。現在、経済産業省では、「特別承認制度」を施行するなどして、中古品やビンテージへの対応を行っていますが、これは、製品の安全性が新品当時に確認されていたことを前提に、中古の流通を再開させただけのこと。
制度上、これらは救済されましたが、いわゆる年代物のビンテージ品においては、配線が切れてしまっている、焦げている、腐っている、なんてことはザラで、安全性の追求という点では、問題はまだまだ山積みです。また、改造、修理の繰り返しで、もはや新品当初の原型を留めていない製品までもが、売り買いされているのが現状です。
しかし、「特別承認制度」のスタートを伝えるニュースでは、こうした現状は一切クローズアップされることなく、「ほらみたことか」と言わんばかりに、各メディアが中古業者や音楽業界者の側に立って報道しました。さらに、特別承認制度についての改正が出されれば、これまたメディアが「お粗末な騒動の結末」として取り上げたことで、世間では「電安法」を軽視する姿勢がすっかり根付いてしまったことは、誠に残念なことです。
昨今の報道によれば、「PSEは悪法だ」とし、電安法をないがしろにする一方で、「消費者の安全を守るべき!」とする世論の動きが高まるのは、全くおかしな現象です。世論が電安法の存在を無視すれば、日本の電化生活は粗悪な電気製品の無法地帯と化します。そうなると、とくに、粗悪な外国製品が市場に投入される確率はこれまで以上に高くなり、これでは消費者の安全は全く守られません。しかし、その一方で、食に関する事案をはじめ、製品の安全性を確保するための制度の見直しや、安全性の確保への国の関与が求められているのです。
本日このページにアクセスした方のなかで、「たいした法律でもないし、さほど気にすることもない。」と思っている人がいるのなら、もう一度、収集した情報を洗いなおしてください。中古品におけるPSEばかりがクローズアップされるあまり、新品を取り扱う届出事業者が混乱している傾向にあるようです。
メディア報道による断片的な情報に左右され、自分に都合のよい情報だけを見方につけていませんか?「臭いものには蓋をしろ」とばかりに、本来、果たさなければならない責務への怠慢を、偏った情報で理論武装していませんか?騒動の背景を理解しようともせず、聞きかじった情報だけで、行動してはいけません。
悪法なんて呼ばないで!これは消費者の安全を守るための法律です。
なによりも、電安法の本来の目的を知ってください。キーマンは、あなた自身です。


