適合証明書の副本を取り寄せただけで、すべてを担保したような気になっているビギナー様が多いようですが、いったい何故それを取り寄せて、それが実際に何を担保しているのかご存知ですか?
輸入電気用品の場合、海外メーカーが届出事業者になってPSEマークを付することはできませんが、登録検査機関による適合性検査を受けることはできます。輸入事業者(届出事業者)は、交付された適合証明書と「同等なもの」を入手すれば、同じ型式について、新たに「適合性検査」を受けなおす必要はありません。ここでいう「同等なもの」というのは、すなわち副本(写し)のことです。
さて、ここからが本題です。実は、手に入れた適合証明書の副本が、輸入するモデルの技術基準への適合性を証明していない可能性があります。言い換えれば、その適合証明書は、御社が輸入するモデルではない、別のモデルを対象に試験した結果、交付されたものかもしれない、ということが現実にありえるのです。
すべての「特定電気用品」が「適合性検査」を受けているわけではありません。中には登録検査機関による「適合性検査」が免除されるケースがあります。
「適合性検査」が免除されるのは、同一の型式に属する電気用品がすでに適合証明書の交付を受け、これが保存されている場合です。
では、ここでいう「同一の型式に属する電気用品」とは、どういう意味なのか?
仮に「PSE-1」と「PSE-2」、同じメーカーが製造する2つのACアダプタがあるとしましょう。大きさは異なり、部品も異なる。外観からして、どう見ても異なる2つのACアダプタですが、これを型式の区分上で分類した場合に、全ての範囲が一致したなら、これらは「同一の型式に属する」ということになります。
※型式の区分とは、構造や性質に関して定めた範囲のことで、経済産業省が設けているプロファイリング上の分類だと思ってください。電気用品ごとに指定される分類項目は異なり、(分類項目は「要素」と呼ばれる)、分類項目ごとに選択できる範囲が与えられています。(選択範囲は「区分」とよばれる。)詳しくは、こちら。
同じ「型式」に属する「PSE-1」と「PSE-2」は、制度上で「安全確保上の構造」が同様であるとされるため、「PSE-1」に対して適合性検査を受け適合証明書が交付されている場合に、「PSE-2」について適合性検査を受ける必要はないとされています。
これは、「PSE-1」を技術基準に適合さすことができたメーカーは、同一の型式に属する「PSE-2」についても同様に安全性を確保できる能力を有するため、わざわざ第三者による確認がなくても、自主的に「技術基準適合確認」を行うことができると考えられるからです。
登録検査機関に問い合わせた結果、「同一の型式に属するのなら、適合性検査は必要ないですよ」といわれ、手放しに喜んでいる人もいるようですが、勘違いは禁物です!彼らは「適合性検査」を受ける必要がない、と言っただけで、「技術基準適合確認」も免除するとは言っていませんよね。(「適合性検査とは」をご参照ください。)
確かに、国内大手メーカーの中には、この制度を利用して、型式の代表モデルごとに適合性検査を受けているところもあります。もちろん、それは、彼らがこの免除の意味を十分に理解し、登録検査の介入がなくとも、自社の設備や知識を集結して、代表モデル以外についても「技術基準適合確認」を行うことができるからです。
これに対して、海外メーカーのほとんどが、背景さえ理解せずにこの制度を目いっぱい利用しています。ある「型式」についての適合証明書を手にしたら、実際には個々のモデルが技術基準に適合しているかどうかなど一切無考えもせず、その「型式」に属するモデルを次々と製造。日本側の輸入事業者には、「これが目に入らぬか!」とばかりに適合証明書を見せつけて、安全性をアピールします。
ここで問題は、どの登録検査機関の、どの適合証明書にも、試験対象機のモデル名が記載されていないことです。ですから、適合証明書の副本を手にしたところで、輸入するモデルの技術基準への適合確認が済んでいるかどうかなど、一切わからないのです。
これを対処するための選択はさまざま。まずは、当該モデルが技術基準に適合しているのか?海外メーカーに問い合わせるのが妥当でしょう。技術基準適合確認が終っているのなら、必ず試験報告書(Test Report)が存在します。
制度が認めているのだからと、海外メーカーの能力を心底信頼して、言われるがまま、渡されるがままに、適合証明書の副本をもって、当該モデルの輸入に踏み切るのも一つの選択です。しかし、万一、当該モデルが技術基準に適合していなかった場合、すべての責任は届出事業者に降りかかるということを、どうぞお忘れなく。


