低電圧指令やEMC指令にみる、いくつかのニューアプローチ指令は、適用される要求に製品が適合していることを記した技術文書の作成を、製造業者に義務付けています。この文書は、技術文書(TD/ Technical Document)または技術構造ファイル(TCF/ Technical Construction Files)などと呼ばれますが、ここでは技術文書(TD/Technical Document)と呼びます。
技術文書(TD/Technical Document)は、指令が特定の期間を明示する場合を除き、当該製品の最終製造日から最低10年間保管されなければなりません。これは、製造業者またはEU域内に設立された正式代表者の責任です。
技術文書に記載すべき内容は、関連する製品について指令ごとに定められています。一般に、技術文書には設計、製造、および製品の運用について記載することが要求されますが、製品の性質によっても記述の内容が異なりますので、これも考慮しなければなりません。また、直接的な要求以外に、技術的な観点から、間接的に指令の要求を満たす必要がある場合。さらに、整合規格(Harmonized Standards)が適用される場合には、整合規格の要求を満たすことにより指令に適合していることを証明する必要があるため、この規格の要求を満足した記述が必須となります。
技術文書は、当該手続きが実施される加盟国の公用語、Notified Body(ノーティファイドボディ)が設立された加盟国の公用語、あるいはNotified Body(ノーティファイドボディ)が許可した言語で記述されなければなりません。また、一部の指令でこれが明示されていない場合も同様のこと。これは、第三者による適切な方法での検証を実施するために、Notified Body(ノーティファイドボディ)自身が技術文書の記述を十分に理解し、精査する必要があるからです。
最後に。技術文書は一度作成したら、「保管」だけでなく、「更新」しなければならないこともお忘れなく。技術は日々進歩します。技術水準が変化すれば、適合性要求が変化するのは当然のこと。それにともない、製造業者は常に最新の技術水準を反映し、適合状態を維持することが求められます。例えば、整合規格(Harmonized Standards)が改訂された場合、製品をその改正要件に適合させなければなりません。事実、技術文書を作成した当時の技術的要求と、数年後のそれとでは大きな差異が生じることもしばしば。ですから、適合宣言を行う皆さんにおいては、常に情報収集に努め、変化に対応し続ける覚悟で取り組むことが大切です。


