検査機関・試験所


 

こんにちは、PSEジャパンの櫨山です。
 
とある場所でお酒を飲みながら、同業関連の方々と雑談しておりますと、話はこんな方向に。盛り上がった勢いで、今日は私の思いを書かせていただきます。
 
検査機関(試験所)における分業制についてのお話です。
 
検査機関での評価のながれといえば、
 
「見積」⇒「申請」⇒「受注の確認」⇒「製品の構造分析」⇒「製品評価(テスト)」⇒「試験データ」⇒「試験レポート(報告書)の作成」⇒「試験レポートの承認」⇒「認証作業」
 
と、大きく分けてこんな感じでしょうか。
いったいこのうち、どれほどが分業されているのでしょう?
 
(1)        見積や申請は営業部が担当する。これはどこの検査機関でも同じでしょう。(もちろん技術部の協力を得て見積るわけですが)。
(2)        技術員(プロジェクトエンジニア)が「製品の構造分析」を行い、テストプランを作成する。
(3)        技術員がテストプランに基づいた製品評価(テスト)を行い、データを収集する。
(4)        製品評価のデータに基づき、技術員が試験レポートを作成する。
(5)        別の技術員(Reviewer)が試験レポートのチェックを行い、承認する。
(6)        認証部に試験の結果を報告し認証を行う。
 
実は以前から私が気になっているのが、ここでいう「技術員」とはどこまで技術を熟知した人間なのか?ということ。
 
よくあるパターンで、試験する技術員(Testing Engineer)がそれほど技術的知識を持っていないケースがあります。技術基準(規格)を熟知した技術員が作成した「テストプラン」に基づき、いわゆるアシスタントさん(オペレーターさん)と呼ばれるレベルの方々が測定器を操作してデータを収集します。
 
彼らは測定器を繰り返し使うことにより、測定器の使い方を習得し、時間的に効率よくデータを収集します。さほど技術的な知識がなくとも操作自体は可能です。所どころに少しの技術力と測定器の操作を熟知したリーダー的な人を配置すれば、試験ラボとしてはある程度成り立ちます。先に技術員がしっかりと製品の構造を把握し、「テストプラン」を作れば、あとはデータを取るだけですから。
 
ここで収集したデータを基に、今度は技術員が試験レポートにおこします。しかし、これまた行っているのが本当に技術員なのかどうか?検査機関によっては、収集したデータを事務系のアシスタントさんが入力し、既存のコメントを「コピー&ペースト」します。できあがった試験レポートを技術員が確認するという流れです。
 
まぁ、入力だけを任せて後で確認するわけですから、それが「悪い」とは言い難い…。
しかし、これで効率を上げているのだから、本当に技術のわかる技術員がすみずみまで確認できているのかどうかがどうしても気になります。
 
あまりに分業化が進めば、責任自体も分散してしまうわけで…。
試験ラボのアシスタントさん(オペレーターさん)が「テストプラン」を読み込めているのかどうか?テストプランを作成した技術員からアシスタントさんに対して細かな指示が出されているのかどうか?どうしても心配は残ります。
 
構造上考えられない数値が出てきたとしても、データを取っている本人も気づかず、さらにデータを入力する人がこれに気づくわけでもなく。あとは最後の砦である技術員(Reviewer)の確認に頼るしかありません。しかし、テストプラン作成以降、一切関知していない案件に急に参加したところで、チェック機能は果たせるのか?
 
データを取った本人はおかしとも思っていないのだから、「気になります」とのコメントを残すわけでもない。入力者はただタイプしただけ。テンポにのってハンコを押していたら、スルーしてしまうような見落としもあるかもしれません。
 
開業してからはいろいろな機関 (試験所)の試験レポートを見る機会が増えました。レポートを見る限り、コピー&ペーストが甚だしいレポートも中にはあるわけです。そりゃ、誰しも好きなフレーズはあるし、何年もやっていればコメントが重複することもある。だけど、こんな試験レポートで製品のいったい何がわかるというのか?というレベルのコメント記載にも頻繁にお目にかかります。(レポートとはそれを読めば、その製品の構造やまたどんな評価、試験がなされたがはっきり手に取るように分かるものでなければなりません)
 
コメントがあるだけ、まだましだと思われる方もいらっしゃるのでは?
Pass」「Pass」「Pass」、「NA」「NA」「NA」と記載しただけでコメントすら無いテストレポートもありますから。
 
ここでのお話は海外の検査機関だけではありませんよ。国内でもそうしたことが見られます。世界には回路図すらなくて、検査しちゃうところもあるようですし。
まぁ、決まり事のように回路図を要求したところで、まともに読んでいないのかもしれません。
 
こんな回路でどうしてこのレベルの漏れ電流がでるんだ?構造的に漏れ電流は出ないだろ?という製品をとって、平気でNGくらわすこともあるかもしれません。構造上出るはずのない数値が出たら、流れの中で誰かが疑ってかかるのが普通です。しかし前記のようなシステムができあがっていると、気づくはずのことに誰も気づかないことも。
 
誰もがルーティンワークを機械的に繰り返すばかりで、責任は分散され…。
最後には「責任者出てこ~い!」の状態になるわけです。
 
分業化は決して悪いことではありません。分業にも大きなメリットはあります。流れに段階を設けることで、チェック機能がアップします。ただ、それには適所にその機能を果たせる人間を配置せねばいけません。
 
検査機関…理想をいえば、検査に関わるすべての人が規格を理解し、それぞれが日々知識を高めるために勉強し努力する。機械的作業を最小限に抑えて、段階的なチェック機能を設けること。
 
ただ、私の眼鏡に適う能力の高い人員を揃えるのはなかなか難しいことで…。
 
私どもの会社が必ずしもこの理想を実現できるとは限りませんが、測定器の操作を万一、専門員とは呼びがたい技術レベルの方にお任せした場合でも、常にその作業を技術員が密に監督できる体制を築けるようにはしたい。
 
実は、欲をいえば私自身、弊社にお越しいただくすべてのお客様の案件につき、1から10までの全工程を見届けたい。見られる工程をすべて見たいし、確認したい。
 
人を信用していないわけではありませんが、可能な限り、各工程を確認してまいりたいと思っています。
 
人に任せきれないのは経営者としてまだまだ未熟だな、と皆様には言われてしまうでしょうがいつまでも現場で声をあげていたいのです。
 
まぁ、こうした作業はすべて人間が行うことですから、間違うこともあるだろうし、見逃すこともある。実際、私にも苦い経験はあります。見逃しの経験もありますよ。
 
だから、間違うな、とは言えません。ただ、できるかぎり知識を終結したシステムを作り出したい。また、認証業界全体がそうであってほしいと心から願うのです。
 
うぉー!!書いてるうちに、すっかり熱くなってしまいました。
今日は長くなってしまいましたね。
 
 

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