こんにちは、PSEジャパンの櫨山です。
すっかり秋らしくなりました。
シルバーウィークは、皆さまいかがお過ごしになりましたでしょうか?
私はといえば、前半は仕事。後半は家でゆっくりさせていただきました。
さて、今日は認証検査費用のお話です。
皆様もご存知のとおり、検査費用というのは各社一律ではありません。
検査会社によってその価格は大きく異なります。
開口一番に「値段を負けろ!」とおっしゃるお客様へ…どうぞ私の話を聞いてください。
検査機関で値段を決めているファクターといえば、それはもう人件費ではありませんか?
検査や試験に割く工数にそれほど変わりはありません。あとは、1ユニットあたりの値段の問題でしょう。
検査機関のコストの最大の要素といえば、測定設備と人件費。測定設備の償却やなんかも多少影響するでしょうが、実際お客様ご負担いただく検査費用に大きく影響するのはむしろ人件費のほうです。
それじゃ、人件費を削ればいいじゃないかという話になるわけですが・・・。
多少の企業努力である程度の人件費は削れるかもしれません。
しかし、あまりに落とし過ぎれば、それ相応の知識レベルのスタッフしか集まりません。
検査機関の役割といえば、検査作業は当然のこと、持ち得た知識を広く提供することでもあります。長年の経験、勉強なくして、検査は行えず、安全性を精査することもできないわけです。
仕事欲しさに単に価格帯を下げて、がむしゃらに営業利益をあげようと検査機関がしようものなら…あとは試験の工数を省略する。つまり、やるべき試験をやらないことぐらいしか方法はないのではないでしょうか。もしくは、とるべきデータをとらないでいる。残すべきデータを残さないでいるといった方法です。安い人件費の検査員を動員して、大量生産のように試験するしかないのです。
しかしそれは事実問題、不可能なお話ですよね。これでは何のために検査を行っているのか、検査機関の資質に関わる問題です。
検査機関ができる最大の努力として、人件費はひとつに挙げられます。ただし、それは決して現在の知識レベルを低下さないことを条件としなければなりません。
以前にこんな話を聞きました。
とある検査機関で欧州向けのEMC試験を行った時のことです。
何度対策を施しても限度値をオーバーするといった時に、
申請者がこう言い放ったというのです。
「おまえに任せていたらNGばかりじゃないか。
よそでは限度値に入るように測ってくれるぞ!
時間がかかっているのだから値引しろ!」
NGを出さないことが検査機関の役目ではありません。むしろ、最もシビアなコンディションにおいて製品が問題ないか、安全であるかどうかを見極めるのが検査機関の役目であって、金を払えばハンコを押してくれる存在ではないのです。
ところで、話は6年前にさかのぼります。
電気用品安全法の適合性検査に民間の検査機関が参入することについて議論された場面がありましたのでご紹介いたします。
(それまでの電気用品取締法では、国の指定検査機関のみが検査を行っておりました。民間の検査機関が経済産業省に登録して検査することが認められるようになったのは現電気用品安全法に移行されてからの話です)
~抜粋~
第156回国会 経済産業委員会 第19号
平成十五年五月三十日(金曜日)
午前九時三十二分開議
平成十五年五月三十日(金曜日)
午前九時三十二分開議
○中村政府参考人 お答えいたします。
平成十一年度の基準認証一括法案においては、公益法人の要件を撤廃して、営利法人等が自由に参入できるとして、原則として料金、手数料等についても大臣認可制でなくて各機関が自由に決めるということにしております。
したがいまして、全般的に役所が料金の傾向を把握しているわけではございませんが、例えば、電気用品安全法に基づく適性検査の手数料体系について見ると、検査機関ごとにまちまちではありますけれども、同じ手数料体系をとっている財団法人の電気安全環境研究所というものと、株式会社のコスモス・コーポレイションというものなどを比べてみると、営利法人の方が大体一割ぐらい低い手数料を設定している。そういう形で参入を図っていっているということが実態です。ただ、個別によっては高いものもあれば低いものもありますけれども、総じて言えばそういう傾向があるというふうに思います。
平成十一年度の基準認証一括法案においては、公益法人の要件を撤廃して、営利法人等が自由に参入できるとして、原則として料金、手数料等についても大臣認可制でなくて各機関が自由に決めるということにしております。
したがいまして、全般的に役所が料金の傾向を把握しているわけではございませんが、例えば、電気用品安全法に基づく適性検査の手数料体系について見ると、検査機関ごとにまちまちではありますけれども、同じ手数料体系をとっている財団法人の電気安全環境研究所というものと、株式会社のコスモス・コーポレイションというものなどを比べてみると、営利法人の方が大体一割ぐらい低い手数料を設定している。そういう形で参入を図っていっているということが実態です。ただ、個別によっては高いものもあれば低いものもありますけれども、総じて言えばそういう傾向があるというふうに思います。
○奥田委員 ぜひとも、法律の方が先にできるわけですけれども、そういった公益法人での標準価格と申しますかそういったもの、やはりそれを行政が高いか安いかということの判断というのは大変難しいものもあるかとは思いますけれども、やはりほかの競争産業の中である価格のように、価格動向といったものにもしっかりと関心を払っていただきたいですし、後から出てくるとなると、どうしてもお客さんをつかまえるために一つのダンピングみたいな形の商取引が生じたりして安全といった部分がおろそかになったりということも予想されたりもしますので、その点の指導監督といったところをしっかりとやっていただきたいと思います。
※【議事録より抜粋いたしました】
前後を省略することにより、表現に誤解があるといけませんので、ぜひ全体をお読みください。
↓↓↓
全体の話からすれば、公益法人の適正価格などの議論から派生したコメントだったようですが、まさに6年も前にすでにこんな議論がなされていたのですね。国会もなかなかするどいところをついて議論しているではないですか。
「…どうしてもお客さんをつかまえるために一つのダンピングみたいな形の商取引が生じたりして安全といった部分がおろそかになったりということも予想されたりもしますので…」
そうなんですよ、まさにそうなんです!
私はこれを懸念しているのです。
実は、値段をたたくお客様ほど製品安全、認証に関しては経験の浅い方ばかりです。
できの悪い製品を安く海外から調達して、安く売るために認証費用をたたきます。
「早くしろ、安くしろ」と言って検査機関を急かし立てます。
急かされて、他社の見積を見せつけられて値を下げて(民間の検査機関の話です)…検査機関の本来の役割とすれば、ためになることは一つもありません。
さぁ、もう一度お聞きします。
それでも安いに越したことはありませんか?
どこに試験を任せても同じですか?
全く同じ製品がより安く買えるのならバン万歳!
しかし、検査においてはなんでも安い金額で試験できたぞ、バン万歳!というわけにはいきません。
例えば、事業者が主体となり製品の安全性を確保しなければならないCEマーキングや電気用品安全法においては、御社の代わりに検査機関が検査してくれているという考えを忘れてはなりません。
あくまで主体は事業者ですから、信頼できるパートナーを選ぶつもりで慎重に検査機関を選出していただきたいのです。試験方法に問題があった場合、あとで「検査会社に任せたからうちは知らない」というわけにはいきませんよ。証明書の交付を受けない「自己宣言」だから、または特定電気用品以外の電気用品だからと、安く試験できればそれでいいという全く無責任な考えは今すぐ捨ててください。
製品の安全性を確保しなければならないのは、あなた。
そして、その検査機関をパートナーとして選ぶのは、あなた自身です。
弊社を含め、検査機関はただだた本来の役割を果たすため精一杯の努力をして皆様にご満足いただくほかありません。
もちろん、お値段も大事なファクター。
それは各検査機関の企業努力でカバーすることを大前提に、皆さまおかれましては信頼できるパートナーをよく見極めて選んでいただきますようお願いいたします。
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